八ヶ岳南麓天文台 FM(VHF帯域)電波伝搬モニター観測(串田法)による


よくある質問




地震前兆観測について

Q 全ての地震について前兆が観測できるのですか?
A 残念ながらできません。概ねマグニチュード5弱規模以上の地震前兆は検知されますが、それより規模の小さな地震の前兆は検知できません。また震源が海域の地震では、前兆が弱まるため、大陸棚程度でM0.3〜0.5、海深1000m程度ではM1.3±、2000mもの海深域ではM2以上も前兆が減衰します。このため、海域下震源の地震では、相当規模の大きな地震でないと前兆検知は困難です。また地震発生のメカニズムが引っ張り応力で破壊がおきる正断層地震の場合も、前兆がM0.5±弱まって観測されています。震源が陸域の地殻地震や、プレート境界地震では、M5±以上規模である場合は、前兆は良好に検知されております。

Q 強い揺れを感じる地震なら前兆が検知でき、予報できますか?
A

地震発生時の揺れの強さや揺れる範囲は、地震の規模だけでなく、地震の破壊メカニズムや、震源からの距離、その土地の地盤の強さなどで大きく変わります。プレート境界型地震では日本列島の地殻自体が跳ね上がるように揺れるようで、非常に広範囲で揺れが観測されます。しかし、震源が浅い、日本列島自体の地殻地震(いわゆる直下型地震)は、震源直上の地域(震央)では強く揺れますが、距離が離れると揺れの強さは弱まります。

例えば、大陸棚付近海域でM5.5の地震が発生する場合には、前兆は検知されるでしょうが、地震発生時の最大震度は3〜4程度でしょう。しかし、内陸の浅い地殻地震では、M3という前兆検知不可能規模の小地震でも震度3ほどの揺れが観測され、M4.5(前兆検知困難規模)程度の小規模地震では、震央では最大震度4〜5弱の強い揺れとなる場合もあります。従って、震度いくつ以上の地震なら前兆検知可能といったことは言えません。本観測で推定できるのは規模であって、揺れの強さではないことをご理解ください。


Q 現在懸念されている大規模地震(首都直下型、関東地震、東海東南海地震等)についても前兆検知はできますか?
A できる可能性が極めて高いと考えます。まず陸域の浅い規模の大きな地殻地震(直下型)は、現在までの観測で多数の観測装置に前兆が検知されてきた実績がありますので、前兆は検知できると考えています。また、フィリピン海プレートの相模トラフのプレート境界型地震である関東地震や、駿河トラフでのプレート境界地震である東海地震等は、震源が一部陸域下にかかっている可能性があり、また海域下震源で海深が急激に深くなっている領域ではありますが、陸に極めて近い(東北地方太平洋沖地震のように遥か沖ではない)ため、規模が大きければ、前兆は検知できる可能性が高いと考えます。さらに遠州灘や紀伊半島沖での地震でも過去に前兆が検知されましたので、これら懸念されている大規模地震については、前兆は検知できる可能性が極めて高いと考えられます。

Q 懸念されている大規模地震の前兆が検知されたとき、公開実験参加者以外に一般公表しますか?
A 現状では困難です。その理由は次の通りです。
 1)本地震前兆観測研究についてご存知ない方が非常に多い。
 2)末端的情報のみが広まり、根拠や信頼性、詳細情報等を求める方々の問い合わせが多数予想されるが、一切これに
   お答えできる人員も設備もない。また観測不能となる。
 3)現在、地震予報情報があったら、という前提のもとでの個々人、地域社会、学校や会社等々での対応や行動について、
   どうすれば良いか等など深く考え、議論されているわけでもない。
 4)該当領域の地方自治体へ連絡するにしても、数が多すぎ、私(串田)だけでは全く不可能です。
 5)本観測研究は、20数年の経験しかありません。そのため、観測された前兆の解析が正しいか、解析から予測
   される地震活動推定内容に間違いはないか? など、解析間違いや、例外も含め、実験観測研究段階であるため、
   確定は困難です。
これらの問題点が解消されれば、公表は可能と考えます。目指しているのは、地震予報がどなたにでも伝えられ、いつくるか判らない地震に怯えるのではなく、安心して暮らせる社会の実現です。

Q 地震前兆が観測されたのに地震が発生しなかったことや、規模の大きな地震で前兆が観測されなかったことはありますか?
A 20数年前のデータでは現在のような経験則や症例がなかったため、一部不明な点があることは否めませんが、近年では、前兆が観測されて対応地震発生がなかったことはありません。規模の大きな地震で前兆が観測されなかったことは、海深減衰で前兆が弱まり、前兆レベルが検知限界下の海域地震ではあります。一番問題となったものは、2011年の東北地方太平洋沖地震後に発生した長野県北部地震です。M6.7(気象庁暫定値)という規模の大きな浅い地殻地震ですから、過去例では確実に前兆検知できる地震のはずですが、この地震発生を示唆する前兆は検出できませんでした。東北地方太平洋沖地震発生によって、東日本の地殻が東方向へ移動したことにより、強い圧縮破壊ではなかった可能性等も考えられますが、原因は不明です。M6以上の地殻地震の前兆が観測されなかったはじめての例です。

Q 将来どこで大型地震が発生するか予測できますか?
A 前兆が観測されない限りわかりません。本観測法は、実際に地震前兆が観測されないと、震源域、規模、発生時期などがわかりません。関東や、東海〜南海にかけての地震等が予測されていることを聞きますが、これらは、実際の地震前兆を観測して予測しているのではなく、統計的に、また過去の地震発生記録等から地震学で推定していることだと思われます。私のところでは、実際の地震前兆が観測されない限りは、全く予測はできません。

Q 大規模ではない中規模程度の海域地震では、前兆が弱まって前兆全体が見えないと思うのですが、そのような場合は、発生日をどのように推定しているのですか?
A 海域(特に関東や東北などの)沖合いの地震の場合には、ご質問のとおり、前兆が弱まり、前兆の極大しか観測されない場合があります。これらは海洋プレートと日本列島の地殻との境界面(プレート境界型)で発生する地震が多いですが、プレート境界型地震の場合は、前兆極大から地震発生までの日数が一番多いのが5日±2日で、数は少なくなりますが、早い場合では、2日±1日、長い場合では13日±4日などがあり、ほぼ一定です。前兆観測の初報段階では、5日±を中心に早い場合も予測しますが、13日±以上と地震発生までに日数を要する場合には、引き続き断続的にでも前兆が継続出現しますので、それが観測された場合は、続報で修正することのなります。ただし、規模がM7を超える沿岸海域地震などでは前兆全体が見える場合があり、前兆の初現、極大、終息を観測して、正確な発生日を計算することもできます。2011年の東北地方太平洋沖地震後に発生した宮城県沖地震などが、その良い成功例です。

Q 前兆と地震は1:1なのですか?
A 前兆に対し、必ず対応地震が確認されます。対応地震が確認できない前兆がある場合には長期的に出現している前兆を誤認しているわけで、明らかな解析間違いをしていることになります。

Q 観測点をもっと増やせば、精度はあがりますか?
A 規模の大きな地震の場合には、震央がどこでも秋田、八ヶ岳、高知の全観測点で前兆が観測されています。現状3箇所の観測点データで解析可能ですが、あと2箇所くらい観測点があったほうが良いとは思います。ただ観測データが増えると、現状私(串田)ひとりでは、全データを見て解析するのに時間が足りなくなります。観測研究員が増えれば可能かと思われます。

Q 公開実験参加者だけでなく、情報を一般公開するためにはどうすれば良いとお考えですか?
A

難しいご質問です。まず、観測研究活動資金については、現状公開実験参加者の皆様からの実験参加費(観測研究支援費)だけに頼っていますので、全地震前兆データ、推定内容を広く一般公表すれば、公開実験が成立しなくなり、観測研究はストップします。年間の観測研究活動費用は決して億とかの単位ではないので、企業や企業体などのスポンサーがもし現れてくだされば、全ての情報を公開できます。また、全ての情報(観測事実・推定根拠・推定内容)を公開するにしても、本観測研究のあらましや、経験則、誤差範囲などを広く多くの方々に知っていただく必要があります。

今回のPHP新書「地震予報」をお読みくださった読者の皆様へなら、全ての情報を公表しても問題は生じません。まずは多くの方々に本方法のことを知っていただくことから始めなければなりません。そして観測研究員の育成も重要と考えます。私独りでの観測研究解析には限界もあり、もし私が倒れたら、この観測研究はそこで終わってしまう可能性もあり得ます。皆様のお知恵、皆様のご支援、ご協力を賜れれば幸いです。まずはPHP新書「地震予報」をひとりでも多くの皆様に読んで戴き、本方法について知っていただき、さまざまな問題について、一緒に考えていただけたらと思います。


Q 地震予測には長期予測、短期予測、直前予測などの分類がありますが、この方法はどれに該当するのですか?
A

ご質問の地震に対する予測に3種があることは存じています。気象予報でも長期的な見通しである長期予測、一ヶ月内程度の短期予測、数日後を予報する直前予測があるようですので、同様に地震にもあてはまると考え、直前になればなるほど精度が高い予測ができるだろうと考えて言い出されたのではないかと推察されます。しかしこれは明確な地震前兆が観測され、予報が可能である時代につくられた分類ではありません。

1995年発生の兵庫県南部地震の際に数日前に集中して電磁気観測でも前兆が観測されたことも原因と思われますが、いまだに規模のある程度大きな全ての地震活動には、地震発生の直前(数日から数週間)前に、必ず前兆が出現すると思い込んでいる方も多いようで、いまだに先の分類が出てきます。しかし、私の方法で観測すると、この17年間に観測された経験からは、地震の種類や発生場所によって、前兆期間の長さが異なるという事実が確認されています。例えば2008年の岩手宮城内陸地震M7.2では、地震発生の1年以上も前から、正しく解析していれば、領域も、規模も、発生時刻までもが推定できていたわけです。しかし、同じような規模の鳥取西部地震では、前兆極大から発生まで、わずか8日でした。

前兆期間の長い歪み速度の遅い領域の浅い地殻地震では、地震発生の1年以上前でも十分な推定内容を導き出せます。あとは発生日を地震発生前まで観測して推定するだけとなります。直前にもフラクタル的に前兆が出る場合もありますが、それは小さいレベルで出現する場合が多いので、それだけを解析しても誤差が大きくなるようです。このように地震種類や発生場所で前兆期間が異なり、発生直前になればなるほど精度が上がるのは、発生日についてだけで、他の推定内容は変わらない場合が多いことから、ご質問にある予測の3種類の分類自体が意味を持たないことになります。


Q 地震前兆観測や予報について、講演して戴くことは可能ですか?
A 毎週毎週や、観測解析が超多忙な時期に遠方まで出張して講演することは困難ですが、この観測研究について少しでも多くの方に知っていただけることになりますので、希望があれば、出来うる限りお応えしたいと思っています。
ご希望の方は直接 天文台研究室のFAX宛てにご連絡ご相談ください。

Q PHP新書「地震予報」は、この観測の教科書と認識して良いですか?
A

あくまでも一般書として書かせて頂きましたので、学術的教科書ではありません。多くの皆様に、事実と私の観測研究内容を知って頂きたく書かせて戴いたものです。学術書ではありませんので、詳細は省かせて戴いた部分も多々あります。詳しい内容や、実際の観測例などを盛り込んでまとめたら、おそらくそれだけで数百頁にもなってしまう可能性があります。実際に観測研究解析をして戴ける方への内容としては不十分です。しかし、実験観測情報をお読みいただく上での資料、根拠前兆や経験則や予測内容の公表を行う場合の本観測法の理解には十分な内容だと思いますし、本観測研究について知っていただく内容としては十分な内容だと考えます。現在ここまで詳しく著した書籍は、他に書いてないので、現状、私の観測研究について著した一番最新で一番詳しい書籍が、PHP新書「地震予報」ということになります。そういった意味では唯一の教科書的存在ではあります。




地前兆検知公開実験について

Q 公開実験とはどのようなものですか? 会員制なのですか?
A

地震前兆検知公開実験は、本観測研究がどこからも資金援助がなく、観測研究活動を継続的に実施していくために、本観測研究を支援してくださる方募集しております。参加いだく方には本観測研究の支援費(公開実験参加費)を支払って戴き、当方からは、地震前兆が観測された際には、その前兆出現状況と過去の経験則を使用した参考推定内容をメールまたはFAXで配信するものです。しかし、まだ経験も浅く、初めて体験する現象については、試行錯誤する内容の報告もあり、もちろん失敗もあり得、あくまでも実験的な地震推定内容となります。従いまして、決して地震予報情報サービスのようなものではありません。また会員制でもなく、本観測研究をご支援してくださる方で、メール受信ができる環境、または24時間自動受信できるFAX機をお持ちの国内在住の方で、日本語が読解できる方なら、基本的にはどなたでも公開実験に参加して頂けます。詳しくは公開実験参加者募集ページを参照ください。(守秘義務制約あり)


Q 地震予報に興味があり、公開実験に参加したいと思うのですが、科学的知識がない者でも参加できますか? 
また実験観測情報を読んで理解できるでしょうか?
A 実験観測情報では、前兆変動の種類などには専用の用語が使われますが、《解説:FM電波(VHF帯域)モニター観測による地震予報》を参照くだされば、おわかりいただけます。またなるべくわかりやすいように説明して作成していますので、科学的知識が足りないと言われる方でも読めると思います。実際、参加頂いている方は、会社員の方から、自営業の方、主婦の方、ご年配の方々まで、多種多様な職種、環境の皆様です。

Q 公開実験に参加すると参加者は何かをする必要があるのですか?
公開実験のFAX実験観測情報にはどのような内容が書かれているのですか?
A

具体的には、何かをして頂くことはなにもありません。配信されたFAXの実験観測情報を良くお読みください。中には地震前兆波形や、前兆レベル変化のグラフや、地震の三要素(場所、規模、時期)を推定するための根拠や、使用経験則などが、詳しく掲載されています。《解説:FM電波(VHF帯域)モニター観測による地震予報》実験観測情報サンプルあり)を参照して戴きご一緒に確認して戴けます。前兆形態や、時間変化比率など、専用の用語を使用して書いてありますので、PHP新書「地震予報」ならびにテキストを参考にお読み頂けたら幸いです。そして実際に対応地震が発生するか否かも確認頂けます。

長く公開実験に参加頂いております方のご意見では、日ごろから地震に対する備えや心構えができたり、家族で、大規模地震発生の場合はどうするかなど、話し合ったり考えたりすることが、具体的にできるようになったとか、大型地震発生がいつ来るかわからない怯えた生活から脱却でき、大型地震前兆が観測されていない情報によって、安心して生活できるようになりましたなどの、うれしいご意見もあります。また公開実験参加者の皆様の中で、なにか気づかれたことや、ご意見などありましたら、FAXにてご送付いただければ、大変参考にもなります。


Q 配信頻度はどのくらいですか? 配信日や配信時刻は決まっていますか?
A 明確な地震前兆がなく、近々に前兆検知可能な中規模以上の地震発生が推定されない場合は、一週間に1枚程度、前兆が観測されていない内容等の情報配信ですが、緊急を要する場合や、規模の大きな地震が予想される前兆が観測された場合、観測データの解析で、何かがあきらかになった場合等では、毎日(一度に数枚、1日に数回の配信もあります)のような配信もあります。これまでの年間平均は約3日に一度の配信です。配信は不定期ですが、配信時間帯は、大体午後1時頃から夕刻7時前後までの時間帯が主です。

Q 地震発生は、どのくらい前からわかるのですか?
A これは地震の種類によっても異なります。プレート境界型地震では、短い場合では地震発生の2日前に前兆極大が観測されますが、長いものでは数ヶ月前から前兆が観測されたケースもあります。しかし半年を越えるものは現在までの観測ではありません。一方、浅い日本列島の地殻地震では、地域によって、その地域にかかっている力(歪み速度)にある程度依存して異なるようです。例えば、2000年に発生した鳥取西部地震M7.2では、前兆極大から発生まで8日でした。中国地方の多くは、中規模地震でも概ね前兆極大から地震発生まで約8日が多い地域です。これに対し、同じ規模の2008年に発生した岩手宮城内陸地震では、前兆期間が3年3ヶ月もありました。前兆期間の長さと規模とは相関がありません。前兆期間の長さは歪み速度にある程度依存している可能性が示唆されます。

Q 実験観測情報には地震予報のみが書かれるのですか?
A

地震の予測内容だけでは科学的ではなく、必ず根拠や観測事実を示す必要があります。実験観測情報には、出来る限り観測された地震前兆波形も掲載しています。日々の変化のグラフや、前兆出現影響局、領域推定の作図や、規模推定、発生時期推定の根拠経験則などを示し、観測情報をお読み戴く参加者の皆様自身でも地震発生推定ができるような観測事実と使用経験則を示すようにしています。地震発生の3要素の各根拠を示さず、結果である推定内容だけを示すのでは、本当に地震前兆を観測しているのか?他の情報によるものなのかも第三者にはわかりません。それでは科学的とはいえません。日常的となっている気象情報でも、単純に明日は晴れなどの天気予報だけではなく、気圧配置や、前線や、台風の発生などをはじめ、衛星画像(雲)や降水分布などの観測事実を示し、だから、風が強くなるとか、大雨に注意とかの予想を解説することによって、誰でもが納得できる気象情報になってきます。

地震発生推定は、より一般的ではないため、発生推定にいたる根拠(観測事実と経験則)の提示が絶対必要であると考えます。根拠事実の提示がなく地震予測だけを示すことは考えられませんし、やってはいけないことだと考えます。現段階では観測事実のほうがむしろ重要で、推定と実際の誤差が誤差範囲を超えた場合、なにが問題であったのか明らかにしていく必要もあります。従って、毎回、予測に対する対応地震発生報告も行っており、誤差範囲に対する実際の誤差も明確に示し、前兆に対する評価から経験則の正しさや、誤差が生じた場合は、その原因等の確認検証も行っています。だからA4の観測情報となってしまう(数枚になる場合も)わけです。